LastPass のデータ侵害:エンジニアの自宅 PC が企業ストレージへの侵入経路に

LastPass breach: Hacker accessed corporate vault by compromising senior developer’s home PC

2023/02/28 HelpNetSecurity — 2022年8月に発生した LastPass の開発環境への侵害と、その後に発生したバックアップ・ホストのサードパーティ・クラウド・ストレージ・サービスへの不正アクセスに関して、同社から顧客へを通知が改めて行われた。同社の通知には、「脅威アクターたちは、最初のインシデントで盗み出した情報や、サードパーティのデータ漏えいから得た情報に加えて、サードパーティのメディア・ソフトウェア・パッケージの脆弱性などを悪用することで、協調的な第2の攻撃を開始した」と記されている。2つの侵害の影響は壊滅的であり、盗まれた/危険にさらされたデータと、機密情報のリストは広範囲に及んでいる。

LastPass の企業データ・ストレージへの侵入経路

LastPass は2回目のインシデントについて、当初は見過ごされていたと述べている。1回目と2回目のインシデントでは、戦術/技術/手順 (TTPs:Tactics, Techniques, and Procedures) と、侵害の指標 (IOCs:Indicators of Compromise) が異なっていた。しかし、後になって、この2つのインシデントが関連していると判断された。

同社は、「2回目のインシデントでは、脅威アクターが1回目のインシデントで流出させた情報を、当社チームがリセットを完了する前に素早く利用し、クラウド・ストレージ・リソースからデータを列挙し、最終的に流出させた」と説明している。

この脅威アクターは、それを実行した方法は、どうなっていたのだろうか? 彼らは、以下のような手順で、Senior DevOps エンジニアからアクセス情報を盗み出していた。

  • DevOps エンジニアの自宅のコンピューターを標的にし、脆弱なサードパーティーのメディア・ソフトウェア・パッケージ (情報源:Ars Technica) を悪用して、リモート・コード実行をできるようにした。
  • その機能を利用してキーロガーを埋め込み、従業員が MFA で認証した後に、従業員のマスター・パスワードを取得した。
  • そして、エンジニアの LastPass 企業用データ・ストレージへ侵入した。

LastPass は、「企業ストレージに侵入した脅威アクターは、アクセスキー/復号化キーを備え、暗号化されたセキュアノートを含む、ネイティブ企業ストレージのエントリと、共有フォルダ上のコンテンツをエクスポートした。それにより、AWS S3 の LastPass プロダクション・バックアップ/その他のクラウドベースのストレージ・リソース/関連する一部の重要なデータベース・バックアップなどにアクセスが可能になった」と述べている。

同社は、攻撃者の動機や、その身元などは依然として分かっていない。この脅威アクターからの接触や要求はなく、彼らがインシデントで得た情報のマーケティングや販売に、アンダーグラウンドで積極的に従事していることを示す、信頼できる情報も検出されていない」と加えている。

サービスや企業の相互接続性が達成されたレベルにおいては、サプライチェーンのサードパーティへの侵害が、実質的に日常的になっている。したがって、別のターゲットの足がかりに過ぎなかった可能性も考えられると、同社は述べている。

LastPass ユーザーがすべきこと

どの DevOps エンジニアをターゲットにするのかを、脅威アクターがピンポイントで特定し、最終的に彼らのコンピュータへの侵入に成功したのが興味深いところだ。しかし、この種の “個人的” アプローチは、決して珍しいことではなく、公表されているよりも頻繁に行われている可能性すらある。

このインシデントについて、LastPass は依然として公式なコメントを発表していないが、同社が法人顧客に対して密かに開始した通知が流出したことで、その全容を知ることができた。

ココで、通知のコピーは入手できる。LastPass Business/Teams および Free/Premium/Families などの顧客を対象に、彼ら自身と彼らの組織を、この侵害の影響から保護するために取るべき、推奨ベストプラクティスとアクションが提示されている。

DevOps のエンジニアをピンポイントで狙うところから、一連のインシデントが始まったようです。この記事を訳していて思い出したのは、2021/09/10 の「国連のネットワーク侵害が判明:ダークウェブ上のログイン情報が悪用される?」という記事です。そこには、「国連をはじめとする国際機関は、サイバー犯罪者や国家支援の活動家にとって、何ものも比類しないターゲットである、そして、残念なことに、その職員が所有するログイン認証情報が、ダークウェブで販売されていることを見つけるのは、とても簡単なことだ」記されていました。また、2022/10/21 には、「RockYou2021 にエントリーされる 84億のパスワード:攻撃で悪用される 50万のパスワードとの関係は?」という記事もありました。よろしければ、LastPass で検索も、ご利用ください。

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