Nearly all governmental websites serve cookies or third-party trackers
2022/07/11 HelpNetSecurity — いくつかの国々では、政府系 Web サイトの 90% ほどが、ユーザーの同意なしにサードパーティのトラッカー・クッキーを追加している。Matthias Götze (TU Berlin)/Srdjan Matic (IMDEA Software)/Costas Iordanou (Cyprus University of Technology)/Georgios Smaragdakis (TU Delft)/Nikolaos Laoutaris (IMDEA Networks) といった研究者たちは、「ユーザーのプライバシーに関する厳しい法律のある国でも、この種のことが起こっている」と述べている。

これまでの調査において、Web サイト上でユーザーを追跡するために、クッキーが広く使用されていることが示されていたが、政府機関の Web サイトの調査は行われてこなかった。
研究者たちは、国際機関や政府の公式 Web サイトを介して、市民の情報が提供されたCOVID-19の流行期における、政府 Web サイトの挙動とデータ保護法の遵守/非遵守の調査を検討した。IMDEA Networks の研究者/教授である Nikolaos Laoutaris は、「我々の結果は、COVID-19 に関連する公衆衛生情報を提供する、政府や国際機関の公式 Web サイトなどのプライバシー尊重に関する基準が、一般と比較して高いレベルに達していないことが示されている。これらの政府の多くが、GDPR の施行を推進していることからすると矛盾している」とコメントしている。
この調査では、国際機関/COVID-19 公式情報/G20 政府における、合計で 5,500 の Web サイトが分析された。具体的には、アルゼンチン/オーストラリア/ブラジル/カナダ/中国/フランス/ドイツ/インド/インドネシア/イタリア/日本/メキシコ/ロシア/サウジアラビア/南アフリカ/韓国/トルコ/イギリス/アメリカ などが対象となった。
クッキーの種類
Cookie には、いくつかの種類がある。IMDEA Software の研究助教授である Srdjan Matic は、「ファーストパーティ・クッキー は、訪問した Web サイト自身が作成するものである。サードパーティ・クッキーは、Web サイトに埋め込まれたコンテンツを介して、外部のエージェントが作成するのが一般的である。さらに、クッキーのゴーストライティングがある。外部の事業者が当事者に代わってクッキーを作成するものであるため、その起源は不明だ」と強調している。
また、この論文では、クッキーの持続時間でも区別している。その内訳は、ページへの訪問中にのみ有効なセッション・クッキーと、短期/中期/長期の持続的なクッキーである。
結果:G20 政府 Web サイト
分析された G20 諸国の Web サイトの大半が、ユーザーの同意なしに、少なくとも1つのクッキーをインストールしている。クッキーを導入している Web サイトの割合が、最も低い国は日本の 77.2% だった。その一方で、韓国/サウジアラビア/インドネシアは、ほぼ 100% でランキング上位を占めている。
サードパーティ (TP) クッキー とサードパーティ・トラッキング (TPT) クッキーを合わせると、ドイツの場合は約 30% であり、ロシアの場合は 95% になる。ドイツに関して言えば、この割合が大きく減少する唯一の国であり、TPT クッキーを含む公式 Web サイトは僅か 9% である。
分析した 19カ国のうちの 16カ国では、TP (third party)/TPT (third party tracking) クッキーの 50% 以上が、有効期限の消滅に1日以上を設定していた。
国際機関
調査によると、国際機関の Web サイトの約 95%がクッキーを設定し、これらの Web サイトの約 60%が、少なくとも1つのサードパーティ・クッキーを使用していることが分かった。Matic は、「国際機関の Web サイトの 52% が、トラッカーに関連したクッキーを、少なくとも1つ設定している。したがって、これらの Web サイトでは、サードパーティ・クッキーを無効化するための特別な措置は行われていない」と説明している。
結果:COVID-19 の Web サイト
COVID-19 の情報調査で分析された Web サイトの 99% 以上が、ユーザーの同意なしに、少なくとも1つのクッキーを追加している。その一方で、サードパーティ・クッキーの存在感は低く、約 62% となっている。
Laoutaris が指摘するように、この研究チームの目的は、「まず自分たちの家をきれいにするために、政府にもっと圧力をかけ、そうすることで、GDPR を実施することの重要性について事例を示し、より説得力を持たせる」ということになる。
政府系 Web サイトにおける、クッキーの取扱いに関する調査が行われたようです。IMDEA Networks が実施した、とても良い試みですね。それぞれの Web サイトと、それぞれのユーザーの関係は千差万別ですが、政府系に関しては何らかの基準があってしかるべきだと思います。最近ですが、米企業のクッキーを受け入れる際のカスタマイズが、かなり分かりやすくなり、また、手間も軽減されるようになってきたと感じます。おそらく、米国における COPRA や Safe Data Act などが浸透してきた結果だと思われますが、その伏線として、EU の GDPR があることも忘れてはいけませんね。

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