クラウドストレージ調査:52% のユーザー企業で前年度の予算を上回る支出

50% of organizations exceed their budgeted spend on cloud storage

2023/01/27 HelpNetSecurity — Wasabi が明らかにしたのは、ユーザー企業はクラウド・ストレージに全力を注いでおり、2024年にはパブリック・クラウドの平均保存容量が、ストレージ全体の 43% に達すると予想されており、大多数 (84%) の企業が、その実現に向けて予算を増やしていることだ。この調査の目的は、パブリック・クラウド・ストレージ導入に対する考え方の変化と、ストレージ購入の意思決定に影響を与える要因を明らかにし、予算/ユースケース/セキュリティ/クラウドデータ移行における最優先事項を明らかにすることだ。


「Wasabi Technologies の senior manager of strategy and market intelligence である Andrew Smith は、「世界では、かつてないほどの、大量のデータがパブリック・クラウドに保存され、パフォーマンスとコスト効率の両方を最大化しようとするユーザー企業は、複数のクラウド・ストレージ・プロバイダーを導入している。また、50% 以上の企業が、クラウド・ストレージにかける予算を超過しているという。そして、クラウド・ストレージに関するトレーニングやユーザー・エクスペリエンスが不十分なため、多くの企業がセキュリティに苦労しているという、新しいトレンドの理解に必要なデータも収集した」と述べている。

クラウド・ストレージは価値が高いと企業は認めている
  • 2022年には、89% の企業が、オンプレミス・ストレージからパブリック・クラウドへとデータを移行し、84% の回答者が、2023年にパブリック・クラウドに保存するデータ量が増えると予測している。
  • オンプレミスからクラウドへの移行を促進する主な要因として挙げられるのは、より弾力性のあるインフラ (42%)/拡張の必要性 (38%)/グローバル拠点へのアクセス (35%) である。
  • 回答者の 51% が、ERP や CRM などの重要なビジネス・アプリケーションをサポートするために、パブリック・クラウドを利用していると答えている。それとは対象的に、バックアップ (38%) や、アーカイブのリポジトリ (41%) として、パブリック・クラウドを利用するケースは少ない。
  • C-Suite の意思決定者に関しては、48% の回答者が、オンプレミスよりもクラウドのストレージの方が性能が良いことを、移行を促す要因のトップとして挙げている。
企業はパブリック・クラウド・ストレージの予算を増加中
  • 回答者の84%は、今後1の年間において、パブリック・クラウド・ストレージへの支出が増加すると予測している。
  • 増加の主な要因は、インフラ移行などの IT 指向 (56%)、DX などのビジネス指向 (45%)、バックアップとリカバリなどのセキュリティ指向 (44%) となる。
  • クラウド・ストレージへの投資意欲があり、回答者の 52% において前年度の予算を上回る支出となっている。その主な原因は、データ運用/データ転送/API リクエストといった、クラウド・ストレージ・ベンダーが請求する料金にある。
  • クラウド・ストレージへの移行にあたって、課題の第1位だったのは、 クラウド・ストレージ請求の内容の理解だった (40%)。
  • この調査データは、業界の残念な真実の1つを明らかにしている。それは、ストレージ料金の多くが、さまざまな項目に割り振られている点だ。回答者は、クラウド・ストレージの総請求額のうち、基本的なストレージ料金が占める割合は、平均して 48%に過ぎないと回答している。

Andrew Smith は、「今日の企業にはアジリティが求められており、データから得られる洞察は、競争上の優位性をもたらすものだ。したがって、企業データには無限の価値があると考えられているが、その一方では、データの保存とアクセスに極めて大きなコストが生じている。残念ながら、ストレージ料金の複雑さと不確実さは、2022年に半数以上の企業において、クラウド・ストレージの予算が超過する、主な要因となっている。つまり、ユーザー企業にとって大きな痛手であり、2023年のクラウド・ストレージ支出を評価する際に、改善すべき事柄であることを浮き彫りにしている」と指摘している。

クラウド・ストレージに関する、セキュリティとは無関係そうで関係のある、とても興味深い調査です。クラウドのほうが安全だとは思いますが、ミスコンフィグレーションによるデータ流出も怖いところです。この数年の間に起こったインシデントが、ユーザーとプロバイダーの意識を変えてくれると期待しています。以下のような関連ポストもあります。

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なお、Wasabi の 2023 Global Cloud Storage Index も、ご参照ください。

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