三菱電機における変圧器テスト報告書の改竄:1982年以降に製造された 3,384台が対象

Mitsubishi Electric faked safety and quality control tests for decades

2022/05/04 BleepingComputer — Mitsubishi Electric は、数十年にわたり、変圧器の品質保証テストを不正に実施していたことを認めた。このような不適切なテストを通過した数千台の変圧器が、日本国内および海外に出荷されていた。そして、Mitsubishi Electric が不正を行ったのは、今回が初めてではないことも分かった。

Mitsubishi Electric が安全性試験データの改ざんを認める

東京に本社を置く大手電機メーカー Mitsubishi Electric は、変圧器の試験報告書の数字を改ざんするなど、品質保証 (QA) テストの手順に不備があったことを明らかにした。全世界で 13万8000人の従業員を擁し、売上高 $34 billion を誇る Mitsubishi Electricは、自動車機器/空調システム/大型変圧器/半導体の生産で業界をリードするメーカーである。

同社は、2022年4月に発表された一連の声明において、品質管理の不正を深く掘り下げるために、2021年7月に招聘された外部委員会が主導する調査の結果を発表した。

同委員会は、「Mitsubishi Electric の送配電システムセンター (兵庫県赤穂市) で製造された 22KV2MVA 以上の変圧器について、Japan Electrotechnical Committee (JEC)/International Electrotechnical Commission (IEC)/Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE) 規格への準拠が求められる顧客要求の試験基準に、完全に適合していない検査が複数あった」と明らかにしている。

また、検査報告書に不適切な記載があることも確認された。さらに、社内の設計指針で提案されたものや、顧客と合意したものから逸脱した、ユニット設計が複数あった。たとえば、「温度上昇試験」では、22kV 2MVA変圧器ユニットが、規制機関の定める最高温度を大幅に超えていたにもかかわらず、Mitsubishi Electric の試験報告書には過熱の危険性がないかのように不正に記載されていた。

同様に、誘電体試験-高電圧に耐える機器の能力 (サージ現象/スパイク時など) を測定するテストは、様々な業界標準が要求する電圧よりも低い電圧で実施された。Mitsubishi Electricでは、1982年から2022年3月までに、22kV 2MVA以上を含む変圧器 8,363台を出荷しているが、その4割強に相当する 3,384台においては、試験が不十分であった。そのうち、1,589台が日本国内へ、1,795台が海外へ出荷されている。

過去の栄光

品質管理で不正を繰り返してきた三菱グループだが、あまり改善されていないことが判明した。2021年10月に Mitsubishi Electric は、品質管理不祥事の第一報の発表を受けて、柵山正樹前会長が辞任した。また、2021年7月には、電車に搭載されるエアコンやブレーキ・コンプレッサーの検査報告書を偽造していた、30年にわたる組織的な不正により、当時の杉山武史代表取締役社長も辞任している。

2016年には、姉妹会社である三菱自動車が、不正確な燃費試験報告書で非難を浴び、辞職者が出ている。2000年には、30年にわたる欠陥隠蔽を認め、100万台の自動車のリコールを行うと発表していた。

Mitsubishi Electric の変圧器を製造する、22ヶ所の全ての施設に対する調査は、当初は今年4月に終了する予定だったが、依然として進行中である。ただし、調査委員会からの最新の報告書によると、今月中に調査報告書が提出される予定である。同社は、このような事故の再発を防止するために、一連の強固な方針を示している。

サイバー・セキュリティからは外れたトピックかもしれませんが、Bleeping Computer に掲載されていたものを、訳してみました。おそらく、経営陣が考える責任というものが、自身が携わっている期間には、問題を起こさないという一点に集約されているのでしょう。ただし、今回の三菱電機の件を見れば明らかなように、露呈しなければ、それは問題ではないのです。先日に友人と Zoom で話していたときに、日本の社会は無謬の社会だから・・・という結論に至りました。それは、サイバー・セキュリティの領域でも、同じなのかもしれません。