Google と ロシア制裁:ISP 2社のキャッシュ・サーバーがシャットダウン

Google shut down caching servers at two Russian ISPs

2022/05/26 BleepingComputer — ロシアの ISP 2社が、自社のネットワーク上のグローバル・キャッシング・サーバーが無効化された旨の通知を、Google から受け取った。このキャッシング・サーバーとは、Google のコンテンツをインターネット・ユーザーに高速で提供し、障害が発生したときにも、アクセスに対する信頼性を維持するための ISP 向けノードである。ISP がサーバーに保持するキャッシュとは、ユーザーによる高速でのデータ・ロードを実現するためのものであり、たとえば YouTube コンテンツにとっては必要不可欠なものである。

ロシアの報道機関は、この突然の動きにより、どの事業体が影響を受けたのかを確認している。現時点では、Radiosvyaz (Focus Life)/МФТИ-Телеком (MIPT Telecom) が、Google の決定の影響を受けると確認されている。

ロシア最大のモバイル・ネットワーク・プロバイダーである MTS/MegaFon は、いまのところ変化が見られないと報告しており、VimpelCom/T2 RTK Holding/ER-Telecom は、この件に関するコメントを控えている。

影響が確認された2つの ISP は、2022年5月19日にキャッシュ・サーバーを停止したが、その日から僅か数日後に Google からの通知を受け取っている。MIPT Telecom は、Google から受け取った通知を RBC.ruと 共有し、報告の正当性と提供された正当性を確認した。Google はキャッシュ・サーバーを停止した理由として、制裁リストに対象となる企業名やキーパーソンが含まれていることを指摘し、法的慣行の変更を挙げている。

影響の推定

ロシアの ISP 2社への影響は大きいが、この ISP の市場シェアは比較的小さいため、同国の多くのインターネット・ユーザーに影響を与える可能性は低い。しかし、Google の禁止措置が、ロシアの全インターネット・プロバイダーに拡大された場合には、その顧客の状況は大きく変化することになる。Google のグローバル・キャッシュは、エンド・ユーザーたちのコンテンツ消費パターンに応じて、ISP 事業者の外部トラフィックを 70%〜90% ほど削減するとされる。

How Google's caching servers work
How Google’s caching servers work (Netmanias)

このサービスが失われると、運用コストが増大し、その負担が加入者への請求に転嫁される可能性がある。それとは別に、キャッシング・サーバーを停止すると、YouTube の読み込みが遅くなるだけではなく、同じシステムに保持されている Google CAPTCHA などのサーバーにも影響が生じる。このサービスが ISP から奪われると、ロシアのサイトでは、人間とボットを見分けるシステムが機能しなくなるだろう。

Google の子会社が倒産

ロシアにある Google の子会社が、一連のキャッシュ・サーバー停止の直前に、破産手続きを開始したことは注目に値する。この子会社は、Roskomnadzor から要求されたブロッキングに関する、遵守不足を主張する申し立てについて、裁判所が課した巨額の ($100 M) 罰金により、ロシアでの事業を継続する能力がなくなったと述べている。

この罰金は、Google によりチャンネルを削除された、NTV/TNT/ANO TV-Novosti (RT)/TV Channel 360/VGTRK/Zvezda/OTR/TV Center/Moscow 24 などの 、YouTube チャンネル所有者が提出した複数の申し立てに対して、モスクワ仲裁裁判所が認めた $32.5 M 相当の現地資産の没収と合わせたものである。

しかし、Google の現地法人は、ロシアでのキャッシュ・サービスの提供には関与していない。これらは、Google のグローバル事業の一部であるため、少なくとも技術的なレベルでは、一連の問題に関連ないとのことだ。BleepingComputer は、この問題と、Google の今後の計画について、同社に情報を要求しているが、現時点では回答は得られていない。

この記事を訳していて思い出したのは、3月15日の「ロシアのストレージが2ヶ月後には枯渇する:欧米が去り中国と手を組む状況に?」であり、そこには、「ロシア政府は、この IT ストレージ問題を解決するために、すべての利用可能な国内データ・ストレージのリースから、撤退した企業が残した IT リソースの押収まで、さまざまな解決策を検討しているようだ」と記されています。ロシアでは、物理/クラウドの両面で、さまざまなリソースが枯渇していくのだろうと思います。その一方では、サービスを継続する Cloudflare のように、ロシアの人々に世界の情報を届けようと奮闘している企業もあります。→ Ukraine まとめページ

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