宇宙空間とサイバー空間:国家と主権のあり方が変化していく?

Cyberspace & Outer Space Are New Frontiers For National Security

2021/09/21 CyberSecurityIntelligence — 宇宙空間とサイバー空間には共通点がある。どちらも、国家安全保障における、新たなフロンティアであるという点だ。この共通点により、従来からの防衛戦略/国境/主権といった考え方が曖昧になってきた。この2つの分野は、重要なインフラであり、国家の保護に必要不可欠なものだが、ダブルユース (二重使用)の性格を持っているため、民生用にも軍事用にも利用できる。

主権の重要性

政治的/法的な概念としての主権とは、その国の管轄内の問題をコントロールする権限のことであり、法律の回避や施行なども含まれる。歴史的には、地理的な条件が国の管轄範囲を決定していた。しかし、宇宙空間やサイバー空間には、領土のような境界線の制限は存在しない。

主権の範囲内という言葉があるが、国家安全保障や人権に関する国際協力のために、各国が行動を縮小することに同意するなど、主権の一部を譲り渡す力のことだ。

宇宙空間やサイバー空間は、国の防衛力や国家安全保障の能力を高めるものである。しかし、継続的なアクセスに過度に依存しているため、各国は依然として脆弱である。また、宇宙空間とサイバー空間は、人類に統一感と共通のビジョンをもたらす一方で、国家間の不和や緊張の原因となり、戦争に悪用される可能性もある。

サイバー空間

世界はインターネットに大きく依存しており、その依存性が、サイバーセキュリティを効果的にするための取り組みに影響を与えている。大半のケースで、ソリューションごとに新たな脅威が発生し、国の国家安全保障や防衛に脆弱性をもたらしている。国際法がサイバー活動にも適用されることは、誰もが認めるところだが、その方法については問題がある。そのため、軍のサイバー活動についても、平和的なものや、許容されるもの、あるいは禁止されるもの、そして、戦争につながる可能性のあるものなどが議論されている。

もちろん、許容されるサイバー活動と、破壊活動の準備としてのサイバー活動は異なるが、どちらにおいても、他国のコンピュータ・ネットワークやシステムを、未承認で利用するものかもしれない。

宇宙空間

これも大きな課題である。宇宙空間の兵器化や軍事化の可能性は、すべての国の国防と安全保障にとって重要な課題である。宇宙空間を管理する法律では、反平和的な目的で使用することや、大量破壊兵器を宇宙空間に設置することが禁止されている。そのため、各国は、この条約による責任と義務を負うことになる。したがって、政府は責任を持って宇宙の利用を促進し、紛争を起こす可能性を最小限にしていく必要がある。

当初は、宇宙空間を平和的に利用する、つまり、非攻撃的な活動ではなく、また、非軍事的な活動にしか利用できないという意見があったが、それは許容されている。しかし、現実には、各国が宇宙空間を利用して地上での軍事活動を行っており、今後もその傾向は続くだろう。

1991年の湾岸戦争は、一般的には、第一次の宇宙戦争だと言われている。今では、多くの国にとって、衛星技術が現代の軍事戦略の、大きな部分を占めていることが分かっている。

宇宙開発の主権

現在、自国の衛星を、単独で打ち上げて運用できるレベルの、宇宙主権を持つ国は約80カ国ある。しかし、世界の約3分の2の国は、国として宙開発能力を持っていないことになる。それらの国々における、宇宙インフラへのアクセスは、すべて他国に依存することになる。また、宇宙技術を自国の発展に役立てることもできず、地政学的/戦略的な理解とネットワークだけに依存することになる。

オーストラリアのように、重要な宇宙活動を行っている国であっても、ロケットの打ち上げや、地球観測、GPS 運用などの、重要な活動を行う主権的能力は限られている。宇宙に関して、すべての面で他国に依存することは、経済的な面で問題を生じる。だからこそ、厳選された宇宙先進国との、戦略的な同盟関係を通じて、宇宙へのアクセスを確保するという、双子の政策を展開している。それと同時に、特定の分野では、主権的な宇宙能力をさらに高めている。同国の政府は、それが国防と安全保障上の利益にとって、極めて重要であると理解している。

IISSが2019年に発表した、特定の国のサイバーパワーをランキング化したレポートでは、これらの国の国家機関が、サイバーに特化していくという傾向が示唆されていた。この報告書には、サイバーの能力と政策が、国際安全保障の中心になっていることを示す、実質的な証拠もある。

サイバースペースの支配は、1990年代以降、米国にとって常に戦略的目標であった。すでに米国は、軍事的にも民間的にもサイバースペースを利用した、大規模なグローバル・フットプリントを持っている。そして現在、この分野で、ロシアと中国に脅かされている。

結論

それぞれの国々は、安全保障と防衛政策において、宇宙空間とサイバー空間が交錯することに対処しなければならない。これらの領域には、軍事的行為と民間的行為という双方からの参加者がいて、さらなる可能性が広がっている。宇宙空間とサイバー・セキュリティ技術の密接な交わりを理解することで、統合された効果的な国防と安全保障のための、最良のポジションが得られる。

訳してみて、読んでみて、考え込んでしまう記事です。「現実には、各国が宇宙空間を利用して地上での軍事活動を行っており、今後もその傾向は続くだろう。1991年の湾岸戦争は、一般的には、第一次の宇宙戦争だと言われている」という部分ですが、言われてみて気づく事になりました。IISS という組織のことも、初めて知りました。もう、すでに、宇宙空間の主権の取り合いが始まっています。でも、それは、サイバー空間にも言えることなんです。

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