プーチン大統領の演説を DDoS で妨害:ウクライナ IT Army の仕業か?

Putin Speech Interrupted by DDoS Attack

2023/02/21 InfoSecurity — Reuters の報道によると、2月21日 (火) のプーチン大統領による演説を放送していた複数の Web サイトがダウンしたが、分散型サービス妨害 (DDoS) 攻撃の疑いがあるという。この演説の間、複数の場所にいたジャーナリストたちは、All-Russia State Television and Radio Broadcasting Company (VGTRK) の Web サイトや、Smotrim のライブ・ストリーミング・プラットフォームにアクセスできない時間帯があったとのことだ。それぞれが表示したエラー・メッセージは、”技術的な作業が行われている” と “単にロードされなかっただけ” というものだった。


Reuters による原因究明は、DDoS の確認までにはいたらなかったが、他の情報源では確認されている。ロシア体制派の RIA Novosti 通信は、悪意のオンライン・アクターが原因であると伝え、ウクライナ IT Army の Twitter アカウントも、同じことを確認している。

この事件に関する IT Army の公式ニュースは、「Great job! プーチンによる連邦議会での演説を放映している、1TV/VGTRK/Smotrim などのチャネルに DDoS 攻撃を仕掛けた。Slava Ukraini」と述べている。

IT Armyは、ウクライナの Mykhailo Fedorov 副首相の呼びかけで、ロシアの標的への攻撃を支援するために、開戦時に設立されたハクティビスト集団である。その攻撃対象を選び、Telegram のグループに公表している。

ハクティビストたちが、DDoS のためのツールやサービスを容易にダウンロードできるようになり、このようなキャンペーンは遥かに容易になったが、その効果はというと、ターゲットの散発的な破壊を上回るレベルに達している。

これまでの攻撃では、大手の酒類流通ポータルの Web サイト、モスクワ証券取引所、ロシアの複数の銀行が被害に遭っている。

その一方では、ロシアのハクティビストたちも多忙を極めており、その中でも Killnet は有名な存在になっている。2022年に、このグループは、米国の 14 の空港や、リトアニア/日本などの政府 Web サイト、米国/オランダの病院などといった、かなり重要な標的への攻撃に際して犯行声明を出している。

ウクライナ侵攻から、ついに1年が経ってしまいました。この間におけるサイバー戦争は凄まじいものであり、世界のあり方が大きく変わってしまいました。このブログのカテゴリ Ukraine に、何本の記事が溜まったのかと、数えるのも嫌になってしまいました。最近の記事としては、以下のものがあります。

2023/02/09:Killnet の Proxy IP リストを公開
2023/01/23:DDoS 攻撃によるロシア側の被害
2023/01/17:クレジットカード犯罪が 62% 減:戦争の影響